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よび汚染から守られた。
1961年、国務院は全国重点保護単位(日本の重要文化財)に指定を発表、1987年、ユネスコは世界文化遺産として承認した。
莫高窟の芸術は、建築、彫刻塑像、絵画が三位一体となった立体芸術で、その内容が豊富で、古代の漢民族が伝統芸術の基礎の上に、外来の表現手法を吸収、融合し、敦煌地方の特色をそなえた仏教芸術にまで発展させた。作品は、中国古代政治、経済、文化、軍事、地理、宗教、社会生活、民族関係、中外友好往来および文化交流等を研究するために、沢山の資料を提供している。
壁画の内容は、時代により異なるが、民間神話、釈迦の善行をテーマにした本主言車、仏教故事、西方浄土に極楽世界を求めるものなど多彩である。
敦煌石窟文化財保存研究展示センター
1988年当時の竹下首相の訪中をきっかけに協力が決まった案件で、94年に開館した。館内には莫高窟の217,220,285,419窟等の模写、その他の作品が展示されている。
・鳴砂山、月牙泉
敦煌市の南6kmにある鳴砂山は全体が砂の堆積でできた、東西40余km南北20余km高さ数10mの山である。最高所は海抜1,715mある。人の足、風等によって”糸竹管弦音”、”鼓角声”、”雷鼓声”等の音が聞こえることから鳴沙と名付けられた。サラサラしたきめの細かい砂で、山を登るのに足がもぐり歩きにくいが・頂上からの眺めは素晴らしい。最近は頂上近辺からハングライダーを楽しむ若者達の姿も見られる。
鳴砂山の北麓の中腹にある月牙泉は、長さ200m、幅30mほどで、葦が茂り、泉の水は澄んでいて、3,000年以上にわたり水がかれたことのない三ヶ月形の神秘の泉である。水中には鉄背魚(鱗のない魚)という珍しい魚が生息し、これを食べると不老長寿に効果があるという。七星草、鳴砂山の五色砂と合わせて”三つの宝物”と呼ばれる特産物である。
・楡林窟(未開放)
別名、万仏洞と呼ばれ、中国仏教石窟芸術の重要宝庫の一つである。安西県の南75kmの楡林河両岸の険しい崖の上にある。ここはシルクロードを行き交う人々は必ず通る所である。
現在、42の石窟が発見されており、そのうち31窟が東岸に、西岸に11窟がある。両岸は100余mの距離があり、中に清流が流れている。窟内には唐〜元代に至る800余年間にわたる壁画が1,000?余り、彩色塑像1000余件が残っている。
楡林窟は北魏時代に創建され、歴代修復されてきた。現存する壁画から判断すると、唐代3窟、五代8窟、宋代13窟、西夏4窟、元代4窟、清代9窟で、洞窟の形、壁画の内容、芸術風格は莫高窟と密接な関係を持ち、高い歴史芸術価値を有している。

 

 

 

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